P900iの向こうの島村と駒子
普段は有名文学作品など滅多に読むことの無い私が、どういう風の吹き回しか(苦笑)、数日前から何だか無性に、川端康成の「雪国」を読みたくなってしまいました。
普通だったらこういうときは、近所の本屋にでも行って文庫本を買ってきて読む…ということになるのでしょうが、どうもそこまでして読みたくは無いような、でも読みたいような…。
それで、会社帰りの電車の中で、わが携帯電話…黒いジャケットのP900iを取り出して、iモードの電子書籍サイトを探し始めたのです。幸い、「新潮ケータイ文庫」に収録されていることが分かったので、早速会員登録して、いよいよ「雪国」を読み始めました。
うーむ、読み進めていくうちに、やっぱり違和感が。
日本文学の名作というのは、横書きはどうしても似合わないものなのでしょうか?(新潮ケータイ文庫には、縦書き表示する専用のiアプリがあるのですが、「雪国」は残念ながら対象外でした)
あるいは、文章を表示するスペースが小さすぎるのが、何だか趣をそぐのかも知れません。P900iの液晶は結構細かいですから、一画面に表示できる文章量は「携帯電話としては」多いほうだと思うのですが、やはり文庫本には遠く及びませんし…。
あと、私は小説を読むとき、まず最初に全編をざっと流し読みしてから、改めてじっくりと読んでいくという癖があります。つまり、その小説の世界を、まず全体像をおぼろげにつかんでから、次いで細かく観察していく…。もしかすると、知らない街を訪れて探索するのと同じ感覚なのかもしれません。
このような読み方をする私にとっては、携帯の画面で小説を読むというのは、あまり向いていないのでしょうね…。
それでも、この小さな液晶画面の向こうからは…
トンネルを抜けて雪国を走っていく列車の車窓風景。雪に包まれた昔の温泉街のモノクロな雰囲気。そして、島村と駒子のあいだで交わされる言葉。時にはひやりと、時には艶めいた空気が二人の間を横切っていく様子。
そんな、「雪国」の作品世界の空気を、ちゃんと感じ取ることが出来るのです。
携帯電話の液晶画面の表示という、困難な環境下であっても、ちゃんと心に伝わってくる文章…。やはり「雪国」は名作だということなのでしょう。
さて、細かい暇を見ての読書なので、流し読みに近いというのに、まだ三分の一しか読み進んでいません。
まあ、あせらずにこの調子で読んでいって、読み終えたら今度は再度、じっくりと読み返してみたいと思っています。
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