トロリーバスとカツ丼の値段
おとといの夢をきっかけに、トロリーバスにまた乗りたくなってしまった私ですが…。そこで、今日はまた、トロリーバスに関する話を書いてみることにします。
でも、最初の問題は…「トロリーバスってなに?」という人が案外多いのではないかという心配です。
もう十何年前かと思いますが、「クイズ年の差なんて」というクイズ番組(おじさんおばさんチームに若者関連のクイズを、ヤングチームに中年世代お馴染みネタのクイズを出すという番組)がありました。
あの番組でいつか、ヤングチームに出されたクイズに、「これは何でしょう?」といってトロリーバスの写真を見せる…というのがあったのですが、正解率はかなり悲惨なものだった覚えがあります。
というわけで簡単に解説。
トロリーバスというのは、電車と同じように架線から電気を受けて、モーターで走るバスのことです。
路面電車と同じように、道路の上に架線が張られているわけで…。架線のある道路しか走ることができません。
日本では何十年か前にあちこちの都市で導入されましたが、残念ながらみんな廃止になってしまいました。日本で現存しているのは「立山黒部アルペンルート」の一部、ふたつの区間だけとなっています。(専用トンネルの中を走るバス路線なので、排気ガスの出ないトロリーバスが最適というわけです)
私は「立山黒部アルペンルート」を一度だけ通ったことがあります。
長野県の信濃大町駅から、山の麓にある扇沢までは普通のバス路線。そして、扇沢から黒部ダムまでは、山脈を貫通するトンネルになっていて、この区間にトロリーバスが走っています。
黒部ダムの上を渡って、トンネルの中を登るケーブルカーで黒部平へ、そして谷をロープウェーで越えて大観峰へ、そして大観峰から立山の下をトンネルで貫いて室堂…。
この大観峰と室堂を結ぶ区間もトロリーバスになっています。が…私が行った頃は、この区間は普通のバスでした。排気ガス対策でトロリーバスに変わったのは最近のこと。そのため、こちらのトロリーバスには未だ乗っていなかったりします。
さて、外国でトロリーバスに乗った思い出ですが…一度だけあります。
1994年の秋、ネパールのカトマンズにツアーで行ったときでした。(谷山浩子さんがヒマラヤを見渡す丘で野外コンサートを開いたことがあり、その追っかけファン向けのツアー旅行に参加したのです)
予め、ネパールのガイドブックを調べて、カトマンズに長さ10キロほどのトロリーバス路線があることは知っていました。
で、カトマンズをバス観光するツアーのとき、郊外から市内に戻る途中でガイドさんに「あのトロリーバスに乗りたい!」と頼んでみたのです。(私だけでなく、参加者には鉄道好きの人も結構多かったので…)
ガイドさんはトロリーバス乗り場の横で観光バスを止めさせて、降りて走っていき、待機していたバスの運転手と交渉…そして、一台貸切ということになりました。
トロリーバスは中国製でした。既に導入されてから年数が経過し、オンボロバスばかりになっていました。
ともあれ、ツアー仲間みんなでバスに乗り込み、さっそくカトマンズ市内へ向けて発車しました。
もちろん途中のバス停はみんな通過です。必然的に、前を行くトロリーバスに追いついてしまいました。
架線をたどって走るトロリーバスのこと、追い越しは無理だろうな…と思ったら甘かったです。前のバスから運転手が降りてきて、架線から一旦ポールを外してしまいました。我らが貸切トロリーバスは、そのすぐ横を(もちろんポールは架線を捕捉したまま)難なく追い越してしまいました。
「はあ…トロリーバス同士の追い越しって実は簡単なんだ…」、初めて見て知った感動でした。
トロリーバス体験を終えて元の貸切バスへと戻り、ホテルへと帰着。
ガイドさんの話では、一般のトロリーバスはいつも混雑しているため、ツアー客全員を確実に乗せるには、一台貸し切るのが最も安全で無難な方法だったとのこと。
気になる貸切料金は、乗客100人分の普通運賃と同額。それでも日本円にして600円ほどだったそうです。
観光ツアー終了後の自由時間、私は市内散歩に出かけ、カトマンズでは珍しいという日本料理店に入ってみました。
ちゃんとした日本庭園の中にある、いかにもカトマンズでは超高級に属するような店でしたが、店内に入るとそれほど豪華絢爛でもありません。メニューも、日本の普通の大衆食堂とあまり変わらないものでした。
私はカツ丼を頼んでみました。出てきたのはごく普通の、本当にごく普通のカツ丼でした。が、材料の多くは日本からの直送ですから、ネパールでは凄い高級料理ということになるでしょう。(そもそも、カトマンズの普通の米はインディカ米なのに、このカツ丼のご飯は日本式の米でした)
で、その値段は、日本円にして約600円でした。
つまり…長さ10キロのトロリーバス路線でバス一台を貸切る料金と…カツ丼一杯が同じ値段だったというわけです。
ううむ、比べるにはあまりに特殊なカツ丼・特殊なバス路線ではありますが、それにしても…。
この両者が同じ値段というのは、何だか妙な心境だったものです。
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