長谷でのロケット見物(長文)
さて、長谷展望公園でH-IIAロケットの打上げを見たときのことを、思い出しながら文章に綴ってみることにしますか…。
(記事の日付は2月18日の夜になっていますが、あの夜は実際には芋焼酎で酔っ払ってすぐ寝たもので…実際にこの文章を書いたのは19日です)
長谷バス停でバスを下車したのは私だけでした。やはり、バスでロケット見物に行くという人は、かなりの少数派のようです。とりあえず私は道路を渡って反対側のバス停に行き、帰りのバスの時刻をメモにとりました。大和バスは16時16分、種子島交通は17時21分…と。
公園のある方面へと歩き始めました。周囲は田畑、特にサトウキビ畑が目に付きます。特に何ということもない田舎道です…本当にこの先にロケット見物のメイン会場があるのでしょうか?でも、私の横を頻繁に、それらしき車が追い越していくので、まあ間違いは無いのでしょうけど…。
車の大部分は鹿児島ナンバーでしたが、他県ナンバーも珍しくはありません。それに、レンタカーの比率が意外と少なめでした。
ううむ…見物客の大半は地元の人か…島外から来る人には、フェリーで車ごと来る人もそれなりにいる…という感じです。
やっと公園にたどりつきました。入口から先、まっすぐに広い芝生が緩い下り傾斜で続き、その先に開ける景色の中に種子島宇宙センターがあるという、劇場型とさえ言えるような公園です。でも、その入口側半分は臨時駐車場になり、数多くの車が停まっていました。さらに次々に来る車を、係員が誘導しています。
駐車場の先には幾つかのテントが並び、スピーカーとモニター(といっても大型のブラウン管テレビ)も設置されて、打上げ実況のアナウンスが大音量で流れ続けていました。
芝生の敷地の一番前方には、既に場所を確保して座っている人、そのうしろに立って打上げを待っている人が多数…という状況でした。(後で聞いたところでは、見物客は1000人を越えたらしいです)
私も手頃な位置に立ち、鞄から立体カメラを取り出しました。
しかし、発射台は数キロの彼方です。カメラをズーム端にしてみても、ロケットはほんの小さな棒にしか見えません。…立体カメラといってもただのコンパクトデジカメ、ズーム操作では電池を結構消耗してしまいますし、替え電池も今回は用意してないので、打上げ直前まで電源を切っておくことにしました。
雲は随分と厚くなり、もう薄日も差しません。打上げへの影響はなさそうですが、雰囲気はちょっと暗めです。それに、風が出てきてちょっと寒いという状態でした。
実況アナウンスでは、今回のH-IIAロケットや人工衛星MTSAT-2についての解説が主に流れていましたが、打上げ10分前くらいになると、カウントダウンの音声とRCC中継に代わりました。
400秒を切り…300秒を切り…カウントダウンはあくまでも順調なようです。私も、周囲の人たちも、緊張がだんだんと高まってきました。
100秒を切ったところで、私は再び立体カメラの電源を入れ、カメラ2台ともストロボOFF、ズーム端へと調整しました。両手で構えてシャッターに指をかけます。
5、4、3、2、1、…そのとき、ロケットの底がオレンジ色に光りました。とうとう発射です。
ロケット…といっても小さな棒にしか見えませんけど…が、炎を底部から吹いてゆっくり、そして段々と加速を付けながら、上空へと上がっていきます。そのあとに残されるのは膨大な白い煙です。
←平行法/交差法→
上がっていくH-IIAロケット(クリックで拡大します)
(前記事で載せた写真より、1ショット前の写真です)
私は秒間隔くらいでシャッターを押しつつ、二台のデジカメの間からそのロケットに向けて目線を追いました。…しかし、曇天の悲しさ、発射10秒後くらいには雲の向こうに姿を消してしまいました。後にのこるのは、斜めの塔のような煙、それも風で少しずつ流れて崩れていきます。
人々の間から拍手が上がった…かどうかは、ロケットに夢中で覚えていません。でも気が付くと、見物の人々は既に帰り始めていました。寒いせいか、何だか足早に駐車場に戻っていきます。
中継は未だ続いています。一部の熱心な十数人がモニターの前に群がり、H-IIAロケットの状況を見守り続けています。
私も、立体カメラを鞄にしまって、モニター周囲の人の輪に加わりました。
既に補助ロケットブースターは無事に切り離されています。一段目の燃焼もやがて終了し、フェアリングも分離され、通信が小笠原局のエリアを抜けて…それから数分、打上げリピート映像(これも見事な打上げ映像でした)など見ているうちに、クリスマス島のエリアに入って通信再開、二段目の燃焼を一旦停止し、数分後に再開し、そして燃焼終了しました。そして…
衛星分離に成功との報が届きました。打上げ成功です。瞬間、モニターの中の人たちも、モニターに群がる人たちも、みんなで笑顔になって拍手と握手を始めました。(あ、握手はモニターの中の人だけでしたが)
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