町外れ、田んぼの中の道を歩き、わがプリウスへと戻ります。道はやっぱり渋滞していましたが、打ち上げから時間がたってきたためか、少しずつ流れは良くなってきているようです。
やっとプリウスに戻り、車内に入ってすぐにエアコンをつけました。涼しくなってほっと一安心。しばらく休憩後、忘れ物が無いことを確認して、渋滞の列へと加わりました。
渋滞がひどいのは町中だけで、町を外れて国見トンネルへの道を進むと、車の流れはスムーズになりました。
時刻は午後3時過ぎ。そろそろ衛星分離時刻を過ぎた頃です。国見トンネル手前の駐車スペースにクルマを停めて、スマホで状況を調べると…おお、衛星分離成功のニュースが出ていました。イプシロンロケットの打ち上げはこれで成功です。
安心して今日は帰路につくことができます。ほっとしながら出発し、国見トンネルへと進みました。これで内之浦とはお別れです。
段々と夕方になっていく風景の中、肝付町を走り、鹿屋の市街地に進んでいきます。
道路の流れは、大体の区間では順調でしたが、交差点や車線減少場所など「このへんは交通集中に対して弱そうだな」という箇所ではクルマが詰まり、ノロノロ運転になっていました。やはり、イプシロン帰りの人たちが多くて、交通量が全体的に多めになっている感じでした。
さすがに疲れてきて、眠気も増えてきたので、こまめにコンビニに立ち寄っては休憩したり軽く食べたり飲んだり…。鹿屋市を抜け、垂水の市街地を抜けたのは、内之浦から3時間を経過した午後6時過ぎでした。
垂水市内の夕方の渋滞
カーナビの目的地は鹿児島ではなく、桜島の中腹にある湯之平展望所にセットしてありました。鹿児島と内之浦の往復の間、どこにも観光地に立ち寄らないのも何だなと思いまして…桜島を間近で見ることができる場所に行ってみたかったのです。
展望台に着くのが夜になってしまってはつまらないな…と思いつつ、垂水から桜島へ、鹿児島湾に沿ってクルマを走らせました。結局、湯之平に到着したのは午後6時半。既に黄昏が迫っていました。
台風接近のためか、かなり強い風が吹いていました。風向きは南。桜島の噴煙は展望台から見て右に流れていて、こちらや鹿児島に来る心配はありません。しかし、道路に積もった火山灰が風に飛ばされて顔に当たり、パチパチと痛みます。
人影も疎らで、風が吹き付ける音が寂しい湯之平展望所。桜島の眺めも、反対側の鹿児島の夜景も綺麗でしたが、さすがにあまり長居する気にはなりませんでした。クルマに戻って出発。あとは桜島フェリーに乗って鹿児島に戻るだけです。
夕暮れの湯之平展望所にて
しかし…
フェリー乗り場に近付くと、数百メートル手前あたりに渋滞の末尾がありました。クルマの進みは遅く、なかなか先に進みません。渋滞というより、桜島フェリーの乗船待ちの列です。
ううむ、ここまでの渋滞は大したことなかったと思って、油断していました。しかし、フェリーを諦めて鹿児島湾沿いにぐるりと回るのも大変なので、ともかくこのままフェリーを目指します。
…やっとフェリー乗り場の前というところで、係員の誘導で左折。フェリー待ちの列はさらに海岸沿いに先へと続き、数百メートル進んだ先で折り返していました。
時刻は8時をまわり…このままでは、レンタカー営業所の閉店時刻の9時には間に合いそうにありません。
桜島フェリー乗り場の夜景
次の船が来るのを待つ間に、レンタカーの営業所に電話をかけました。
営業所の係員によれば、連休とあってクルマのやりくりに余裕がなく、今乗っているこのプリウスも今夜は別の営業所に陸送なので、どうしても今夜のうちに返却が必要とのこと。
あとどのくらい待てばフェリーに乗れるのか分からない状況…、係員といろいろ相談しました。陸送のドライバーが深夜に来るので、あまりに到着が遅れるようなら閉店後の営業所前に停めておいてほしい、なんて話まで出たところで、クルマの列が動き出しました。
後でまた電話しますと言い残して電話を切り、クルマを進めると、すぐ目の前にフェリー料金所のゲートが見えてきました。おお、どうやらもうすぐ乗れそうです。料金を支払い、フェリー乗り場の待機場に進んで待つうち、次に入港したフェリーに誘導されました。
乗り込んだ船の桜島出港時刻は午後8時45分です。再びレンタカーの店に電話すると、「それでは、店の到着は9時20分頃ですね。お待ちしています」と、係の人もほっとした様子でした。
クルマを停めてから出港までの数分間、車内に散らばったゴミをまとめ、荷物をバッグにまとめていました。そして出港。
船室に入って一休みしているうち、船内のテレビではイプシロンロケット発射のニュースが流れました。きれいな発射だったんだなあと画面を見ながら感心。15分経過して、午後9時に鹿児島港に到着しました。
あとは営業所に戻るだけです。下船後、鹿児島の中心街を走り、ガソリンスタンドに立ち寄って満タンにして、9時15分頃に営業所に到着しました。既に閉店時刻を過ぎて、事務所だけ灯りがついていました。
クルマを降りると、係員が来て素早く車内と車外を点検。特に問題なく、返却完了となりました。
一日をともにしたプリウスと別れたあと、閉店したレンタカーの店の前で、キャスターバッグをつかんだまま一人残されました。
これでついに今日の行動を無事に完遂した…という満足感と、そして一日の緊張から解放された脱力感に、一気に包まれたような気がします。
ここから今夜のホテル(ドーミーイン)まで、歩けない距離ではありませんが、もうとても歩くのは無理…。ナポリ通りの少し離れたところで待機していたタクシーを、手を振って呼び寄せ、ホテルへと急ぎました。
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